のわ×あら

E

「ん、嵐……?どうしたの?」
部屋に一人、野分は本を読んでいた。舞風は遠征当番であり、留守にしている。
そんな中嵐は部屋にやってきた。嵐は萩風と同じ部屋で生活をしている。
「いやぁ、のわっちが寂しい思いしてないかってさ」
「……やれやれ、嵐が寂しいんでしょ」
「なっ!」
「これでも私のほうがお姉ちゃんなんだから、それくらい分かるよ」
野分は知っていた、舞風と同様に萩風が遠征に出かけていたことを。
赤面をしつつ、室内に入り舞風のベッドに座る嵐。
手に持っていたゲームを広げ、寝っ転がりながらプレイする。
「もう、何しに来たんだか」
「一人でさぁ、部屋のゲームの音が響いてると本当孤独感あって無理なんだよ。のわっちがそこに居れば、そういうの無いだろ?」
「本に集中したいんだけど……」
と、口ではこう言うが野分自身も寂しかった。
だから皮肉を述べて、少しでも隠す。嵐は鈍感故に、そのことに気付いていない様子だった。
「のわっち何読んでんの?」
「推理小説」
「ふーん……」
「興味ないなら聞かないでよ」
「いやぁ、えっちな本読んでたら面白かったのになぁって」
「この推理小説、官能シーンあるけど」
「え、マジで!? どんなの!?」
「嘘だよ、バカ」
ムスッとしながらも、またしても沈黙が訪れる。
時計の針が進む音と、典型的なゲームのサウンドエフェクトが延々と流れる室内。
同じ体勢だったからか、野分は本を持ちながら伸びをする。
「ん、んっー……」
「なんだよのわっち、変な声出して」
「ん、肩こっちゃって」
首をぐるぐる回し、腕も同様に回すと、パキパキと音がした。
側に居る嵐が分かる程、大きな音だった。
「のわっち、まるでおっさんだな」
「む、誰がおっさんよ」
そう言ってから、また野分は本に目を落とす。
それに気付いた嵐も、ゲーム画面に目を戻した。すると、少し目を離していた隙に操作していたキャラクターが死んでしまう表示が出てきていた。
「だーもう、死んだ。のわっちのせい」
「もう、それなら自分の部屋でやって」
「やだ」
「ワガママなんだから……」
天井を見上げる嵐。ゲームを閉じて、野分のほうを見る。
気付いていないのか、野分は気にせずに本を読み続けていた。目線だけで野分に気付いて欲しい嵐は、じぃっと見つめる。
「……」
「……はぁ、もう何。嵐」
「んー、ん。なんだろうな」
「……甘えたいの?」
「さ、さぁな」
「素直じゃないんだから」
渋々立ち上がり、嵐の方へ足を運ぶ。
嵐は目を泳がせながらも、野分との顔が近づいていることに焦りを見せる。
「と言うか、私だけど。良いの」
「のわっちだから良いんだよ」
「やれやれ」
嵐ゆっくりと深呼吸をしてから、野分の腕を取って抱き寄せる。
野分もそれに応えて、背中に手を乗せて、トントンと嵐を落ち着かせた。
その行為が妙に恥ずかしく、嵐は野分の胸に顔を埋める。
「萩風ほど無いけど」
「これはこれで良し」
「これはって……」
呆れながらも、野分は嵐の頭を撫でた。
野分と嵐。野分が姉であり、嵐が妹。四駆で一緒に居ると、ついつい忘れてしまう。
嵐が上の方であることと、嵐の性格からして、このように甘えることは滅多に無い。
舞風と萩風が居ない。だからこそ、今は2人の姉妹艦。
「……のわっち」
「もう、こういう時くらい野分って呼んで」
「野分っ」
「ん」
「……好きっ」
「……はいはい」
やはり呆れながらも、野分は照れていた。それがバレないよう必死に抱き寄せる、顔を見られたくない。
見られたらバレてしまうから。流石の嵐もそこに感づき、強引に引き離す。
すると今度は野分が嵐の胸に顔を伏せた。
「もう、バカ……私も、好き」
「はっは、のわっちも甘えん坊だな」
「そうよ、だって貴女の姉だもの」
逆転し、嵐が野分の頭を撫でる。
野分は撫でられ慣れていない。髪型も複雑で、そもそも髪の毛に触れられることすらあまり好んでいなかった。
なので、新鮮。それが故に、恥ずかしさは増していた。
「……なぁ、のわっち。2人の時はさ、いつも……こうして良いか?」
「うん……良いよ」
寂しさを埋める。
たったそれだけの行為だった。何もおかしくない、ただお互いに支えているだけ。
それなのに、またしたい、こうなりたい、そういう思いから口約束をしてしまう。
「……約束な」
「約束っ」
2人は指切りを交わし、少しずつ素直になって行くのであった。


突発で書きました。
完全に某氏が悪いです、のわあら良いですね。
今度ちゃんとしたの書いてみたさあります……。ふふへ。